2007-04-25
§ **[clip] はやぶさの帰還運用開始
はやぶさの運用チームが記者会見を開き、はやぶさがイオンエンジンの噴射を開始したことを報告したとのこと。ただ、イオンエンジンの状態が芳しくなく、当初の予定を変更して4基あるエンジンのうち1基のみで加速を行っているとのこと。また、以前から言われているように姿勢を保持するためのリアクションホイールも一基しか動作しておらず、かなりぎりぎりの状態で運用が行われているみたい。~
ref.明日帰還開始宣言、ますます状況は厳しく(松浦晋也のL/D)~
ref.ついにはやぶさ明日帰還開始,ただしイオンエンジンに新たな不具合も(はやぶさまとめニュース)
§ **[clip] はやぶさのサイエンスデータが公開
JAXAの小惑星探査機「はやぶさ」が取得したすべてのサイエンスデータがWeb上で公開されました。登録などの必要はなく、誰でも自由にサイトからデータをダウンロードすることができます。これはすばらしい!~
ref.「はやぶさ」の取得したサイエンスデータアーカイブの公開について(JAXA)~
§ **[clip] 小惑星「イトカワ」で地滑りが起きている痕跡を発見
東京大学の宮本英昭准教授を中心とした研究チームは小惑星探査機「はやぶさ」が取得したデータから、潮汐や小天体の衝突による振動によって、表面のダストや粒子が移動した痕跡を発見したと発表。小惑星のような微小重力下でこれほど活発な地質現象が起きていることが明らかになったのは初めてのこと。~
ref.微小重力地質学の幕開け 〜地滑りで進化する小惑星イトカワの表面〜(JAXA/ISAS)~
ref.小惑星イトカワにおける地滑り地形の発見(東京大学)
以前の発表でも、イトカワの表面でレゴリスなどの移動の形跡が報告されていたけれど、今回の発表はそのメカニズムを明らかにした、ということみたい。
これまで、小惑星というのは重力が小さく大気も無く、地質活動も無い死んだ世界だと思われていたんだけれど、これらの地形は明らかにイトカワの表面で何かが起きていることを示している。いったい何がこの地形を作ったのか?
どうやらその答えは「振動」らしい。イトカワのような小さな天体だと、潮汐や微天体の衝突が惑星全体を長時間に渡って振動させる。この振動によって表面に降り積もった砂礫が「液状化」して斜面をすべったり、「ブラジルナッツ効果」によって岩と砂が分離したり、といった過程を経てあの地形が形成されたとのこと。
「ブラジルナッツ効果」というのは、サイズの違う粒子を混ぜて振動させると大きなものが細かい粒子の上に浮かび上がる現象で、ミックスナッツの容器を振るとサイズの大きなブラジルナッツが上にあがってくることからこの名前がついた。
日本で売られているものには、ブラジルナッツはあまり入っていないけれど。ミックスナッツに手を突っ込むと、なぜか毎回食べたくも無い「ジャイアントコーン」に当たるのはこれが理由なのかな?