2007-04-26
§ **[clip] ESOが地球に近い環境を持つと思われる太陽系外惑星を発見
ヨーロッパ南天文台(ESO)は、地球から20.5光年離れたGliese 581と呼ばれる星のハビタブルゾーンに、岩石型の惑星を発見した、とのこと。「ハビタブルゾーン」というのは「生命が生存可能な領域」という意味で、水が液体で存在できる距離のこと。もちろん地球は太陽から見てこの距離にある。~
ref.ESO 22/07 - Astronomers Find First Earth-like Planet in Habitable Zone(ESO)~
ref.Notes for Planet Gl 581 c(The Extrasolar Planets Encyclopaedia)※元論文へのリンク有り
中心星は赤色矮星。太陽よりずっと小さくて暗い星です。そのため、地球と同じような環境といっても、中心星との距離はずっと近くて、太陽-地球間の1/14、0.07AUしかありません。水星の軌道半径が0.3AUですから、どれくらい近くを公転しているか分かるというもの。この星の1年は、地球の時間でたったの13日間です。
さて、あちこちで「地球型の惑星」と見出しが踊っていますが、ちょっと注意が必要です。この惑星についてわかっているのは、密度とおおよその直径ぐらい。ガス惑星ではなく固体の核を持つ岩石型の惑星で、なおかつ地表は液体の水が存在できる温度かもしれない、ということぐらいです。海や大気の存在が「確認」されたわけじゃありません。
とはいえ、水というのは太陽系の外でも結構ありふれた物質なので、この惑星に海がある可能性は決して低くないかもしれませんね。ま、さすがに生命が存在するかも、というのは言い過ぎのような気もしますが...
§ ***Gl581cは住みよい所?
面白いからちょっと想像してみようか。ただの妄想なので、あまり真面目に取らないでね。
さて、とりあえず、この星には大気と液体の水が存在するとしよう。それでも、地球とはずいぶん違うはず。
直径が地球の1.5倍、質量が地球の5倍ということは、この星の重力加速度は地球の倍以上あることになる。~
ref.((6.67300*10^-11)*((5.9742*10^24)*5)) /((6.3781*10^6)*1.5)^2= 21.7773846~
慣れの問題?心臓への負荷とか、骨や体組織への負荷を考えると単純に体重が2倍になるのとはちょっとちがう。2Gといえば、ジェット機の離陸ぐらい。あれが常に掛かり続けるとすれば、肩こりが増えるぐらいじゃ済まないはず。
また、これだけ主星に近いと潮汐力が強くて、月と地球の関係みたいに公転周期と自転周期が一致しているかもしれない。だとしたら片方の面はずーっと昼、逆はずーっと夜。どういうことが起きるのかよくわからないけれど、たぶん地表は夜側から昼側に向けてかなり強い風が吹いているんじゃないだろうか。惑星規模の巨大な台風。
赤色矮星は小さくて自転速度が高く、大きなフレアが起こりやすい。だとすると、Gl581cは頻繁に強いX線やガンマ線、荷電粒子なんかにさらされている可能性がある。もちろん、地表への影響は大気の密度や組成、磁場の強さなんかに左右されるので一概には言えないけれど、太陽と地球の14分の1の距離で太陽よりもずっと強いフレアに何度もさらされる、という状況はあまり想像したくないよね。
スペクトルのピークが太陽と違うから大気の組成もかなり違うはず。赤外線寄りで紫外線量が少ないとすれば、大気中のメタンやアンモニアがさほど分解されずに残り、逆にアミノ酸みたいな高分子化合物の生成は少ないかもしれない。だとすると、地球と同じプロセスをたどって生命が誕生する可能性は低いかも。
「ハビタブルゾーン」という言葉は、僕らが知っている唯一の事例にずいぶん引きずられている。気温が地球に近いからといって、必ずしも居住可能とはいえないし、生命が発生しやすいともいえない。
逆に言えば、地球にだって100度を超える高温や0度を下回る低温でも平気で活動する生物がいる(実は人間だってその一つ)。ハビタブルゾーンから外れていても、生命が誕生する可能性は充分にあるんじゃないかな(まあ、生命をどう定義するかにもよるけどね)。
とはいえ、Gl581cがこれまで見つかった中で、もっとも地球に近い性質を持っていることは事実。今後の研究が本当に楽しみ。
>というのは言い過ぎのような気もしますが<br><br>同感ですね。なんか昨日から(テレビや新聞でも)やたらと取り上げられていたので、ちょっと大げさな感じもしました。
まあ、メディアがセンセーショナルに書きたくなるのはわかるんですが、<br>必要以上に大げさに喧伝しちゃうと、逆に真相がわかったときの「がっかり感」が増してしまう気がしますね。<br>「狼がきたぞー」にならないかちょっと心配。
そういやぁ、沈黙のフライバイの赤色矮星人(赤い小人だっけ?)を思い出した。