Garbage Collection


2008-02-04

§ *[clip] Gemini Observatory(Science and Technology Facilities Council)

ジェミニ望遠鏡からイギリスが撤退(Garbage Collection)、というニュースの続報。交渉は決裂、状況はかなり絶望的な模様。

UKの科学評議会は改めて「北と南に2つある望遠鏡のうち北のやつだけにするから割引して」という提案していたけれど、ジェミニ側は「お金はきっちり2台分払うというのが最初の約束でしょ」とこれを拒否。「UKは正式に脱退を表明したものを見なす。最初の約束どおり2年分の違約金を払うように。もちろん観測提案もUKから提出された奴は候補から外すからね」と通告。UK側は「じゃあ、仕方がないね。正式な脱退に向けて手続きを開始するよ」と宣言。~

ref. Special Session of the Gemini Board Resolves UK Partnership Issue(Gemini Observatory)~

ref.Skies dim for British astronomers(BBC)

残念だけれど、元々そういう約束なんだから仕方がないか。ジェミニ側だって予算が有り余っているわけじゃないから、UKが抜けた後の新しいパートナーを探さなくちゃいけない。中途半端にUKが関わるとその分観測割り当て時間が減ってしまうから、パートナーシップの魅力が半減する。だって、これ他の参加国から見たら「4部屋あるうち、2部屋しか使わないから家賃を半額にして」って言ってるようなものだよ。大家さんから「ふざけんな」といわれても仕方がない。

このままUKがジェミニから脱退すると「UK政府は国際共同プロジェクトを完遂できなかった」という前例が付くことになる。次に国際共同プロジェクトに参加するときに「ほんとに大丈夫?」という目で見られるのは避けられないはず。しばらくの間、サイエンスのパートナーとしてのUK政府の信用を回復するのは難しいかもしれない。また、UKの脱退は、UKの天文学界にとても大きな損失であるだけじゃなくて、残りのメンバーへの負担が増えるということでもある。UKが抜けたことでジェミニ・プロジェクトそのものが揺らがないかどうかがちょっと心配。

複数の機関が参加するプロジェクトは、うまく行っているうちは、予算と技術をパートナー間で共有・分配できるからすごく魅力的なんだけど、一旦歯車がきしみ始めるとかなり厳しい現実が待っている。最近、どの分野でもサイエンスの規模が肥大化して「国際共同プロジェクト」がお題目のように唱えられているけれど、本当はこういうリスクにもちゃんと目を向けないとまずい。

とはいえ、余裕がないから共同で運用するんであって、プロジェクトがこけた時の保険なんて用意できるはずもない。結局「どうかうまく行きますように」と祈るしかない、というのが現実。うーん、どうにかならないものかな?

§ *[clip] NASA and The Beatles Celebrate Anniversaries by Beaming Song 'Across The Universe' Into Deep Space(NASA)

NASAがビートルズの「Across The Universe」を北極星に向けて送信する、というお話。あれ?でもリクエストはチャック・ベリーじゃなかったっけ?

でもなんで北極星なんだろう?恒星系が見つかった、という話も聞かないし、第一、450光年もあるから返事をもらうのに時間がかかっちゃうじゃないか!せっかくなら、もう少し近場にしとこうよ、ねえ。

ちなみに、曲が送信される予定の2/4には、各地で「送信と同時にみんなでAcross The Universeを歌う」というイベントが開催されるそうな。時間は東部標準時午後7時から、日本だと翌日2/5の午前9時。歌ってみる?