2007-04-10
§ **[clip] 「はやぶさ」が4月半ばに地球に向けて出発
日本の小惑星探査機「はやぶさ」がいよいよ帰還の途につくとのこと。この間、サンプル回収容器のふた閉め、イオンエンジンのテストなど、帰還に向けての準備が進められていましたが、4月半ば頃にイトカワ近傍を離れ地球に向かうとのこと。~
ref.「はやぶさ」の現状について(JAXA)
いよいよですね。リリースによると、残り一つの姿勢制御用のリアクションホイールもいつ故障するかわからない状態で、姿勢制御がかなり難しいみたい。なんだかまた運用チームが「新しい手法」を考え出したみたいだけれど、詳細は明かされていない。なんだろう?
§ **[clip] ISS滞在中のスニータ・ウィリアムズがボストンマラソンに挑戦
ただし、ルームランナーの上で。無重力だから楽だろうって?いやいや、ベルトでルームランナーに縛り付けられている上に、汗が流れず、応援してくれるギャラリーも居ないから、結構大変らしい。~
ref.Even in space, running a marathon is an uphill battle(New Scientist Space)
§ **[clip] 15%人間の細胞を含んだ羊が作られた
ネバダ大学のEsmail Zanjani教授は羊の胎児に人間の成人の細胞を移植することで、細胞レベルで15%人間の細胞を持つ羊を作り出した、とのこと。~
ref.Now scientists create a sheep that's 15% human | the Daily Mail
すでにヒヒ、羊、豚などの内蔵や細胞を人間に移植することはすでに臨床例があるし(成功しているとはいいにくい状況だけど)、豚の心臓弁やインスリンなんかは治療方法としてもはや確立された技術といってもいいくらい。この技術はその逆をやっただけ、と考えるならさほど驚くほどのことじゃないのかもしれない。こういう、異種間での移植の成功率を高めることができる可能性があるなら、かなり有用な技術であるとは思う。ただし、倫理的にどうか以前に、羊にしか罹らない病気を人間に媒介してしまう可能性はあるかもしれない。
良きにしろ悪しきにしろ、メリットがデメリットを上回るなら倫理の問題は時間が解決すると思う。だからこそ、危険性にはちゃんと注目しておくべきだし、メリットの方もちゃんと考えておくべきだ。とかく倫理の話になると、メリットやデメリット以前の問題になってしまう。それはあんまり得策じゃないんじゃないかな。たしかに、こういうことに対する嫌悪感はとても大事だけど、それだけじゃもったいないよ。
§ **[clip] Time Life誌の廃刊に伴い、画像のアーカイブが無償公開に
Time Inc.はTime Life誌の休刊にともない、その十万点にもおよぶ画像ライブラリをネットで公開することを検討しているとのこと。どうやら、個人での使用は無料になるみたい。まじっすか!わぉ!クリエイティブコモンズのAttribution-Noncommercial-Share Alikeとかで個人サイトへの転載を認めてくれたりしないかな?~
ref.Time Inc. to Close LIFE Magazine Newspaper Supplement(Time Inc.)
§ **[clip] 日本学術会議が国際天文学連合(IAU)に惑星の定義の再考を要請することを決定
ref.太陽系天体の名称等に関する検討小委員会(日本学術会議)~
ref.冥王星の新分類、「教育現場では推奨せず」 学術会議(asahi.com)
うーん、報道がまた見事に的を外している。
asahi.comの記事では、「冥王星は準惑星とするが、教育機関などで使うことは当面推奨しない」という部分だけが強調されているけれど、この提言の一番大事なところが抜けている。報告書を読むと「(日本学術会議は)dwarf planetの定義にはまだ問題があると考え、IAUでの更なる検討を要請する」と書かれている。だからこそ、もう少しはっきりするまでは「準惑星」という言葉は使わないほうがいいよ、という結論なのだ。
どちらかというと、「冥王星は"準惑星"」より「IAUに惑星の定義の再検討を要請」のほうがニュースとしては大きいんじゃないかな。だってこれ「日本は惑星の新しい定義に反対を表明します」っていう宣言だからね (突っ込みあり、追記参照)。
前回、小委員会から案が出たときには、報道では「"矮惑星"は言葉としてよくない」という部分が強調されていた。~
ref.冥王星の分類の日本語訳は「準惑星」 日本学術会議小委(asahi.com)~
ref.Garbage Collection(2007-03-27)*1
でも、今回初めて公開された上の報告書を読むと、議論の力点は「冥王星は矮惑星か?準惑星か?」ではなく「本当にこの惑星の定義は適切なものなのか」という部分にあったことがわかる。これは学術的にもとても有意義な議論だし、その結果としてIAUに再考を促すことにしました、というのはすばらしい成果だよ。
「冥王星の定義」という話が"受ける"のはわかるけれど、問題は「惑星の定義」であって、冥王星の分類はその結果でしかない。その主客を転倒させたまま今回の話を語るのは無理があるし、これじゃミスリードといわれても文句は言えないんじゃないかな?
(追記)~
ref. 脱、惑星宣言!(この街の空にも星は瞬く)(2007-04-10)~
確かに、「日本が惑星の定義に反対」はちょっと言い過ぎですね。正確には、日本はdwarf planetの定義について曖昧な部分が残っていて誤解を生む可能性があるから、この部分について再検討を要する、と言っているだけです。
*1 ・・・・・つ、釣られたから言ってるんじゃないんだからねっ!
「Time誌の休刊」でなくて「LIFE誌の休刊」ではないかと。
うわぉ、またやってしまった...<br>はい、Time.incのLife誌ですね。ありがとうございます。
第二、第三報告の方が面白くなりそうですね。マスコミ受けするかどうかはわかりませんが。
確かに、dwarf planetの定義が提案される次の報告は楽しみですね。<br>どう受け入れるべきか、じゃなくて、積極的に新しい提案をしていこうという姿勢はとてもすばらしいと思います。