Garbage Collection


2006-06-27

§ **[clip] Lab tuned to gravity's 'ripples'(BBC)

ドイツとイギリスが共同で設置した重力波検出器「GEO600」が定常観測に入った、というお話。これまでは数時間・数十時間という単位で動かしての、テスト段階だったけれど。これで本格的に重力波観測所として可動を開始。

GEO600はレーザー干渉計と呼ばれるタイプの重力波検出器。原理をすごく簡単に説明するとこんな感じ。一本のレーザーをプリズムで互いに直角になるように二つに分けて、それぞれを同じ長さのながーい光路で往復させて、また一つに重ねてあげる。そうすると、行路の長さが変われば、光の位相がずれて干渉縞に変化が起きる。まあ、単純といえば単純な仕掛け。でも、精度が半端じゃない。彼らが探そうとしているゆがみは、地球と月の間ぐらいの距離で原子核一つ分ぐらいなのだ。

何しろ物の長さや性質は温度がほんの少しだけ変わるだけで変わってしまうし、地面だって常にゆれている。レーザーの光そのものにもノイズも馬鹿にならない。機械は冷やさなくちゃいけないし、振動を抑えるためにすごく精密なダンパーの上に載せなくちゃいけない。そして、ひたすら機器のノイズ源を取り除くべく日夜努力することになる。こりゃ大変だよ。

そういえば、重力波検出器を地震計の代わりに使って、地球のマントル層に放り込んだプローブと「地面の振動」を使って通信しよう!なんていっていた人がいましたね。

ref.核爆弾と10万トンの溶鉄、重力波検出器(JunkyardReview)

§ **[clip] Hubble Main Camera Experiences Power Problem(SpaceDaily)

ハッブルのメインカメラが「また」壊れたよ、というお話。前回も直ったから、今回も地上から直せるかも、ということらしい。スペースシャトルで直す計画はあるけれど、2010年のシャトル退役までぎりぎりのスケジュールだから、いつフライトがキャンセルされてもおかしくない。まあ、衛星としてはとっくに寿命が来ていてもおかしくないものだから、そろそろ新しいのを上げてもいい頃なんだけどね。JWSTはまだ先だし...

そういえば、新規開発したり出かけてって直すより、ハッブルの予備機を改良して打ち上げるほうが早いよ!という計画があったっけ。委員会には日本の国立天文台からも研究者が参加している。

ref.Hubble Origins Probe

§ **[clip] New Scientist SPACE - Breaking News - Noisy ISS may have damaged astronauts’ hearing

ISSはすごくうるさくて、宇宙飛行士の健康を害するかもよ、というお話。ワークエリアで62から69dB、就寝用のエリアで55〜60dBのノイズがあるそうな(これでも減らしたんだって)。静かなオフィス、図書館が50dBぐらい。普通の話し声、銀行の中が60dB。掃除機の音、車の中が70dB。絶えられないほどではないけれど、休まる暇がないとすれば、あまり快適な環境とはいえないなあ。なんにしても、ISSへ行くなら耳栓を忘れないようにしないと。

残念ながらISSにいったことがないので、本当はどんな感じかは分からないけれど、ある程度想像はできる。おそらく、ありとあらゆる機械の中で冷却用のファンが回り、かなり強い空調ファンも回っているはず。それに加えて、水やガスのポンプや、姿勢を安定させるジャイロなどの常時動いている駆動部分もある。

でも、このファンを止めるわけには行かない。たとえば、無重力では対流が起こらない。暖められた空気は強制的に循環させない限り、熱源の周りにいつまでも留まる。冷却用のファンを止めてしまったら、あっという間にありとあらゆる機械が熱で動かなくなるんじゃないかな。

実は、僕が宇宙飛行士に会う機会があったら聞いてみたいのは、この「音」話と、もう一つは「におい」の話なのだ。こればっかりは行った人じゃないと分からないからね。