2006-06-06
§ **[sts-121] Discovery passes launch debris review for July liftoff(SpaceFlightNow)
STS-121の断熱材落下に関するレビューが終わり、打ち上げにゴ−サインが出た、というお話。このまま行けば、予定通り米国東部夏時間(EDT)7月1日午後3時49分(日本時間2日午前4時49分)に打ち上げが行われます。
このレビューは、この間の外部燃料タンクの改修に関連して行われた風洞実験の結果を評価するもの。「断熱材の脱落が起きないとはいえないが、大きな破片が落ちることは無い」という感じみたい。なんとなく歯切れが悪いなあ。ちょっと心配。~
cf)STS-121、ロールアウト(GarbageCollection)
というわけで、少し気が早いけれど、現在の打上スケジュールでカウントダウンスクリプトをアップしました。~
STS-121 Discovery Mission Timeline : Launch Phase~
スケジュールに変更がありしだい随時更新します。
§ **[clip] Thirty Meter Telescope Passes Conceptual Design Review
アメリカとカナダの複数の大学が共同で建設を予定しているThirty Meter Telescope(TMT)のコンセプトデザインが審査を通ったよ、というお話。これは「達成すべき目標をちゃんと実現できるように望遠鏡が設計されているか」を審査するもの。実現に向かってまた一歩前進というところでしょうか?
TMTというのは名前の通り、口径30mの超巨大望遠鏡。現時点では口径10m強というのが最大だからどれだけ大きいか分かるというもの。もちろんこんな大きな一枚鏡を作れるわけがないので、直径1.2mの鏡を738枚組み合わせて作る。望遠鏡というのは口径が大きければ大きいほど光を沢山集められるから、口径が30mもあるとものすごく暗い星まで見える。もしかしたら、宇宙で最初に生まれた星たちが見えるかもしれない。
実は今、世界中で次世代望遠鏡として口径30m-100mの超巨大望遠鏡の建設を計画しています。でも、いまのところこのTNTが一番進んでいる感じ。もちろん、日本にも30m級の計画があります。
cf)Astronomy - The Hitch Hiker's Guide to Science
超巨大望遠鏡というのは、なかなか楽しみな計画ではあるんだけど、あんまり大きくなると、取り回しやメンテに時間がかかって観測時間が短くなるんじゃないかという不安がないでもない(大きいからといって、観測時間が増えるわけじゃないからね)。接続する観測機器も規模が大きくなるし、メンテナンスコストもかなりの額になるはず。天文学がビッグサイエンスになっていくのは時代の趨勢なのかもしれないけれど、それが本当にみんなをハッピーにするのかどうかは、時々立ち止まって考えて欲しい気もする。
個人的には、すばるで培ったノウハウを生かして6-10mぐらいの「すごく使いやすい大型望遠鏡」を世界のあちこちに3-4台作る、という選択肢も意外と悪くないと思うんだけど...
お邪魔します。<br> 電波望遠鏡は既に「一つの大きな望遠鏡を作る」のではな<br>く「複数の望遠鏡から得られたデータを重ね合わせる」に<br>なっています。光学望遠鏡でも同じ事ができれば流れは変る<br>のでしょうが(試みはされているようですが)、今は分解能<br>は口径で決まってしまいますので(30mでは二つに見えるも<br>のが6-10mではどうがんばっても二つに見えない)。<br><br> 「鏡を大きくすると自重で歪む」という問題があったから<br>長らくパロマー天文台の5mが最大でしたが、「鏡を能動的に<br>制御する」ようになったので8-10mの望遠鏡が作れるように<br>なりました。このまま30-100mまでいけるのかが楽しみで<br>す。
>光学望遠鏡でも同じ事ができれば流れは変るのでしょうが<br>そうですね。実用的な光学干渉計ができれば、ずいぶん違ってくるかもしれません。ただ、電波のように「記録しておいたデータを後から重ねる」というわけには行かないので、技術的なハードルはまだなかなか高そうです。メンテナンスも大変そうですしね。<br>そういう意味では、30m-100mを作る意義は充分にあると思います。ブロガーさんのおっしゃるように、技術的なプロジェクトとしてもとても魅力的ですからね。