2006-04-10
§ *Venus Express(ESA)
金星探査機Venus Expressが日本時間の明日、17時に金星に到着します。Venus Expressはヨーロッパ宇宙機関(ESA)の主導で打ち上げられる探査機で、主に金星の大気の化学組成などの観測を行います。この前、探査機が金星に行ったのはNASAが1989年に打ち上げたマゼランが最後ですから、実に16年ぶりの来訪です。
金星は質量も体積もとても地球によく似ていますが、地表の様子はまるで違います。硫酸の分厚い雲が惑星全体を覆い、大気のほぼ96%が二酸化炭素(これは火星とほとんど同じ数値ですね)です。この二酸化炭素による温室効果で平均気温は摂氏460度(これは金星よりずっと太陽に近い水星よりも高い数字です)に達します。あまりすごしやすいところじゃありませんね。
さらに、赤道での自転速度が秒速1.6mしかないにもかかわらず、秒速100mの偏"東"風が吹いています。これは、地面の速度の60倍で大気が動いていることになります。うゎお!地球の赤道での自転速度が秒速460m、偏西風が秒速30m(地表の速度の1/6)であることを考えれば、驚くべき数値であることが分かると思います。熱による対流が原因と考えられていますが、詳しいメカニズムは不明です。
そうそう、付け加えるなら金星は太陽系で唯一、自転の方向と公転の方向が逆になっている惑星ですね。つまり、太陽が西から昇るのは太陽系の惑星の中で金星だけです。なぜそんなことになっているのかは、これもよくわかっていません。
実は、このVenus Expressは日本にとっても他人事じゃありません。実は日本が計画しているVenus Climate Orbiter(PLANET-C)という金星探査計画は、このVenusExpressと協力関係にあって、互いのミッションが相補的になるように設計されています。Venus Expressが大気の組成に重点が置かれているのに対して、Venus Climate Orbiterはその名の通り、金星の大気力学的な側面を探査します(要するに金星の気象衛星ですね)。データの解析なども日欧が協力して行うことになっています。
うまくいくといいですねえ。
§ **Venus Express - Venus Orbit Insertion Events
というわけで、カウントダウンスクリプトに、VeunusExpressの金星軌道投入のイベントリストを追加しました。