2005-11-09
§ ヴィーナスエクスプレス打上げ
ESA - Venus Express (ESA)
延期されていた金星探査機Venus Expressの打上げが、日本時間12:33に行われます。Venus Expressはヨーロッパ宇宙機関(ESA)の主導で打ち上げられる探査機で、主に金星の大気の化学組成などの観測を行います。金星到着は2006年4月の予定です。この間、探査機が金星に行ったのはNASAが1989年に打ち上げたマゼランが最後ですから、実に16年ぶりの来訪です*1。
実は日本もVenus Climate Orbiter(PLANET-C)という金星探査を計画していて、こちらは大気の運動を観測することになっています。Venus ExpressとPlanet-Cのチームは計画段階から協力関係を持ち、両探査機は互いのミッションが相補的になるように設計されています。データの受信や解析なども共同で行われる予定です。すばらしい!
金星は、太陽系の惑星の中で最も大きさと密度が地球に近い星です。でも、様子はまるで違いますね。地表には酸化硫黄の雲から硫酸の雨が常に降り注ぎ、平均気温は400度以上。この平均気温は、より太陽に近い水星よりも高い数値。これは厚い二酸化炭素の大気の温室効果のためです(このことを指摘したのはかの有名なカール・セーガン博士です)。実は「温室効果」という現象は、金星を観測することから得られた知見なんです。他にも、やたら濃い大気(地表面で90気圧)とか、自転がすごくゆっくり(金星の一日は117日)とか、なのに上層大気は4日で金星を一周する(風速350km以上)とか、けっこう謎の多い星です。
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打上げは無事成功、探査機は金星へと向かう軌道に無事乗ったようです。おめでとうございます!
*1 木星探査機のガリレオがスイングバイを行った際、ちょっとだけ観測してるんですけどね。そういえばこれも1989年の打上げです。