2005-08-10
§ NASA Announces Mars Orbiter Launch Delay (NASA)
本日、日本時間10日の夕方に打ち上げが予定されていた、マーズ・リコネッサンス・オービターですが、一日延期になったようです。東部夏時間11日の7時50分から9時35分の間になりました。日本時間では同日20時50分?23時35分ですね。
Mars Reconnaissance Orbiter (MRO)は、直訳すると「火星偵察衛星」。火星の軌道を周回しながら約2年間に渡って火星の地形をくまなく探査します。地表の1mの物体を識別できる超高解像度のカメラ*1や、大気や地中内部の状態を探査するレーダーなどを搭載しています。
*1 おぉ、これまで送ったバイキングや火星ローバーが写りますね。
しかし、昨日シャトルが帰ってきたばっかりだっていうのに、昨日の今日で火星探査機か...いくら緊縮財政だっていっても、これだけのの余力があるんだから、やっぱり、すごいねぇ。
§ 「すざく」搭載観測機器(XRS)に発生した不具合の状況について (JAXA)
先日打ち上げられたX線天文衛星「すざく」にトラブルが発生した、というニュース。どうやら、冷却用の液体ヘリウムが漏れ、XRS(X-Ray Spectrometer:X線分光検出器)が使えなくなってしまったらしい。がーん。
すざくのXRSはこれまでX線天文衛星に搭載された検出器より性能が一桁高いという、超高感度のX線検出器。「すざく」に搭載された観測機器の中でも目玉のひとつだったんだけど...なんとも残念。まあ、他の機器は生きているから観測ができなくなったわけじゃないけどね。
参考)すざくの現在位置(GoogleSatTrack2_plus)
§ テストフライト
航空機の黎明期、まだ飛行機が木と布でできていた時代。主翼の面積と重量と剛性という相反する要素を両立させるために、複葉という形式が多く用いられました。羽を上下に2枚並べ、支柱でつなぎ、鋼線で張力をかけることで、面積を稼ぎながら軽量で剛性の高い主翼を作り出したんです。
さて、飛行機の翼は同じ面積なら、前後の幅を狭くし左右の長さを長くした方が揚力が増します。じゃあ...細い翼を沢山重ねれば性能のいい飛行機ができるに違いない。当時は重く非力なエンジンしかありませんでしたから、誰もが必死で軽くて揚力が大きい翼を作ろうとしていた時代です。この理屈に飛びついたエンジニアが沢山いたのも致し方ないでしょう。
確かに、三葉機ぐらいまではうまくいきました。でも、4葉、5葉、とうとう10葉機なんていう代物が作られるにいたっては、もう本末転倒です。構造的にも複雑で、機体重量は増加するわ、剛性はまるでないわで、とても飛べた代物ではありませんでした。
まあ、要するに、なにごとも中庸が肝心、というお話です。
ところで、先日街を歩いていたらとつぜんテストパイロットにスカウトされました。普段三葉機を飛ばしている人間に、あの機体を任せるとはなかなかの目の付け所。で、早速、勇んで飛ばしてみましたが...