Garbage Collection


2003-10-12

§ 『哺乳類の世界』

ここしばらく、ずいぶん前にビデオにとってあった『デビッド・アッテンボロー哺乳類の世界』を、おゆはんを食べながら順番に見ている。昔からこの人のシリースは大好きなんだけれど、今回もすごくおもしろい。


この人のシリーズは、とにかく「いい絵」がものすごく多い。あまりに自然に撮ってあるので、気を抜くとつるっと過ぎてしまうけれど、よく考えるとものすごいカットが次から次へとつないであったりする。


うろ覚えだけれど、ちょっと再現してみよう。


・真夜中、真っ暗闇の中(赤外線カメラの撮影)、これから狩りに出かけようとするライオンの前4,5メートルのところで、ライオンの狩りについて説明するデビッド爺さん。いやー、さすがに緊張しますね、じゃないでしょう。喰われても知らんぞ爺さん。


・左右に激しく蛇行しながら追っ手のチーターから全速力で逃げるガゼルを、超望遠でびたっとセンターに入れたまま微動だにさせないカメラマン。超スロー、走るガゼルの首から上だけを捉えたショット、そこに飛び掛るチーター。この映像がまったくぶれない。このワンショットで、ガゼルとチーターは急減速してるはずなんだけど・・・。


・何の変哲もない木の幹が写っている。そこへ隣の木から飛び移ってきた猿がフレームインしてくる。えーと、この場所に猿が飛んでくるのが何でわかるんですか?いや、ある程度引いた絵ならわかるんだけど、猿が画面からはみ出そうなぐらいのアップだったりするんですけど・・・。


・月夜の晩に歩きながら交尾をしているハリモグラ、カメラが引くとデビッド爺さんが嬉しそうにそれを見ている。えー、だってカメラは歩いているハリモグラを追ってたんですが・・・なんで爺さんそこにいるの?


・カヌーに乗ったまま、ビーバーの説明を続けるデビッド爺さん、その前をキューでも入れたかのように素晴らしいタイミングでフレームインしてくるビーバー。って、おいどーやって撮ったんだ?


とにかくデビッド爺さんの「ほら、見てください、?が、ちょうど?をしていますよ」という台詞がものすごく多い。で、カットを切り替えずに、遠景にちゃんとその動物がその行動を取っている姿が写っている。このワンカットをとるために、いったいどれくらいの時間をかけているのか・・・。対象となる動物がその行動を取るほんのわずかな瞬間に、完璧な構図とタイミングで、デビッド爺さんとのツーショットを撮る。そのために、いったいどれほどの労力がつぎ込まれているのか、考えるだに恐ろしい。


というわけで、最近、連れとの間で『デビッドアッテンボローCG説』が、まことしやかに語られている。いや、本当にすごいんだってば。


§

※ちなみに、映画監督/俳優のリチャード・アッテンボローは実のお兄さん。