2007-11-13
§ *空気が薄いとコンピューターがクラッシュする、というお話
友人が空気の薄いところでノートパソコンを使おうとして苦労しているのを小耳に挟んでいたので、何となく気になっていた話。電子機器なんて、多少の気圧の変化には耐えられそうだけれど、意外とそうでもないらしい(電子製品のマニュアルを見ると、高度が高い場所での使用は保証対象外になっていたりする)。
おそらく、もっとも気圧の変化に弱いのはハードディスク。実は、ハードディスクは、内部のディスクといっしょにわずかな空気の層が回転することによって読み取りヘッドを浮かせているんだけれど、空気が薄いとヘッドを浮かせる十分な揚力が得られず、動作中にヘッドが磁性面に接触しやすくなるんだそうな。要するに、これは空気が薄いとハードディスクはすごくクラッシュしやすくなる、ということ*1。ちなみに、ハードディスクには必ず温度変化で内圧が変化しないように0.5mm程度の空気孔が開けられている(内蔵型のハードディスクをよく見ると「塞ぐな」と書いてある)。
対処法は ...温度を一定に保って完全密封、というわけにはいかないから、 RAMやフラッシュを使ったソリッドステートディスクを使うのが手っ取り早いかな?ただ、こういう環境下での使用を前提とした、内部の気圧を一定に保つ密閉型の特殊なハードディスクもあるみたい(高そうだけどね)。
また、気圧が低いと対流やファンによる排気がCPUなどの発熱部から充分に熱を奪うことができない。当然、熱暴走や熱による電子部品の劣化などのリスクが高まる。これは、クロック数を落とすとか水冷するとかでどうにか...
熱による部品の劣化ということで一番問題になるのは、たぶんコンピューターの電源部分などに使われている電解コンデンサ。こいつは内部が加圧されていて、温度や気圧の変化に弱い。こうしたコンデンサには何らかの原因で内圧が上昇したときに破裂するのを防ぐために圧力弁が付いているんだけれど、加熱されて内圧が高まったり外部の気圧が下がるとこの圧力弁が動作して電解液が漏れ出してしまう(PCが煙を吹いた、なんていうのは大抵この電解コンデンサが原因)。場合によっては発火や爆発の危険もある(よほど粗悪品じゃない限り大丈夫だと思うけど)。
他にも、気圧が低いと放電しやすいとか、乾燥していると帯電しやすいとかも関係ありそう。なんだかすぐに「ぱちっ!」といきそうだよね*2。えーと、アース?
というわけで、火星の表面でBlackboxを動かすのは、かなり大変だと思う (ネタニマジレスカコワルイ...)。
(追記)~
気圧という点だけなら、普通の電解コンデンサでも1万メートルぐらいまでは大丈夫なんだそうな。ただ、気温が下がると静電容量が下がるので誤動作の可能性があるとのこと。~
ref.アルミニウム電解コンデンサの概要(ニチコン株式会社)※PDF
2002年頃はこんな対策をしていたようです。おそらく相対加速度が大きな外周部のみを使ったのではないかと。<br>http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/1122/tp16.htm<br><br>今はFlashメモリが死ぬほど安いので、SSDが妥当でしょうね。<br>もしくはディスクレスでUSBメモリのみで運用してもいいぐらいでしょう。
おぉ!これはすごい。なるほど、外周部なら比較的速度が速いから浮力が得られそうですね。<br>でも、バッテリーがヘタってしまったとは...
僕の4200mUSBメモリ機は、最近どこでもSSD機になっちゃいました。USBメモリに入れるファイルを絞りこむのは楽しかったのだけど、雑用しなさい圧力に負けました…。<br><br>経験的には、ハードディスクはヘッドのクラッシュより制御チップの熱暴走で使えなくなることの方が多いような気がします。保冷剤で冷やしとくとしばらく動くので。そうそう、電池とか液晶は逆に使う直前まで人肌でぬくめとかないとけないですね :)
そうか、やっぱり熱の方が問題なんですねえ。<br>確かに気温が下がるのもかなり影響しそう。<br>あおしまさんに紹介していただいた記事でも、<br>結局電池切れで立ち上げただけですぐに落ちたみたいだし...