2006-07-16
§ **[sts] STS-121 Flight Day13
今日は、順調に行けば軌道上で過ごす最後の一日、明日はいよいよ帰還、大気圏突入です。今日は一日、帰還のための準備。物を固定したり、機器のチェックをしたり。ちなみに、上記ページには、すでに帰還時のタイムスケジュールも加えてあります。
さて、昨日行われた機体の損傷チェックは問題なしとのこと。ただ数日前から燃料タンクの圧力がわずかに下がっている補助動力装置(誤:補助電源ユニット)(APU:Auxiliary Power Unit)がちょっと心配ですね。APUというのは、シャトルの油圧装置を動かすための装置です(下記、別項参照)。メインエンジンの首振り機構や大気中に入ってからシャトルをコントロールするエレボンやラダー、着陸脚の出し入れ(ただ、シャトルの場合着陸をやり直すことができないので「入れる」ことはまずありませんが)など、油圧で動いているものは、シャトルのフライトでとても重要な役割を果たすため、壊れてしまうとちょっと困ります(というか、帰れません)。
現在、バックアップも含め3台あるAPUのうち1台の燃料タンクにわずかな圧力低下が見られること。現状の圧力低下のレベルなら、そのまま使ってもまず問題ないとのこと。ただ、リークが現状のレベルで留まっているかどうかは分かりません。APUは一台あれば、帰ってくることはできますが、予備がないというのはちょっと心配です。
それに、故障したAPU1は着陸脚を出すために使われるため、動作しない場合は火薬の力で強制的に着陸脚を展開するバックアップシステムを使うとのこと。使わないにこしたことは無いんですが...。
§ **APUとは
コメント欄にて、シャトルのAPUは電源供給のための物ではないのでは?というご指摘を受けて改めて調べてみました(月影さんありがとうございます)。確かにご指摘の通り、シャトルのAPUは電源ではなく直接油圧を供給する物です。なんだかすっかり勘違いしていたので、改めてまとめておきます。
APU:Auxiliary Power Unitというのは上にも書いたように、シャトルの油圧装置を駆動するためのものです。一般的APUというのは、航空機用のエンジンを始動するための電力や飛行中に使用する電気を供給する発電機を指しますが、シャトルの場合は電力を供給するのではなく、燃料を燃やしてタービンを回し、その回転力を直接油圧ポンプの駆動力として使っています。いわば小型のロケットエンジンでポンプを動かしているという感じですね。また、これらのポンプの潤滑油や油圧装置の油を冷却するために、Water Spray Boilerと呼ばれる冷却器がAPUに付属しています。シャトルのAPU、Water Spray Boilerは機体後部、ペイロードベイのすぐ後ろあたりに置かれていて、尾翼の付け根に排気口があります。
これらの装置は打ち上げの5分前にスイッチが入れられ、軌道投入噴射が行われるときに止められます。基本的に軌道上では帰還前日のテストを除き使用されません。そして、大気圏突入のための軌道離脱噴射の後、スイッチが再び入れられます。~
Auxiliary Power Unit(NASA)~
APUの配置図(NASA)~
APUの取付けの様子(NASA)~
Auxiliary Power Unit(Wikipedia)
このAPUで燃料として使用されているヒドラシンは可燃性に加え毒性も高く危険性が指摘されていました。そのため、これをバッテリー駆動に変えようという計画もあったようですが、いまだ実現していないようです。~
APUの訳はJAXAプレスキットで補助動力装置となっているので、それに従うのが良いと思います。シャトルでは電力だけを供給するものなのでしょうか?<br>窒素ではなく燃料のリーク、というのも確認されていない気がします。<br>英語力不足のため確信を持って指摘することができないのですが、情報源を読み直すなどの確認していただけたらと思います。
確かに、ご指摘の通りリークは「燃料か加圧のための窒素のどちらか」ということですね。<br>APUについては、一般的に航空エンジンなどで電源供給のために使われているものという認識でいたんですが、むしろシャトルでは一般的なAPUとは異なり、タービンの力で直接油圧装置を駆動しているようです。大変失礼しました。<br>なんだか、思い込みでいい加減なことばかり書いていますね。申し訳ありません。
修正に加えAPUの解説、ありがとうございます。<br>実は一般的なAPUについて知らなかったので、航空機でも油圧を供給するものだと思い込んでいました。こちらこそ思い込みでコメントしてしまっていました。すみません。