2006-02-10
§ [clip] すごい気球が完成間近
- スーパープレッシャー気球の性能試験を実施(JAXA via お間抜け活動日誌)
- おぉ!これはJAXA宇宙研の矢島研究室の仕業ですね。実は日本はこのタイプの気球の研究では世界のトップを独走しているんです。今回の実験は室内で加圧して耐圧試験をしたということみたいですね。これまでもフライトテストを含め何度かテストは行われてきましたが、今回は実用化に向けたテストとのこと。どうやら5月にはテストフライトが予定されているようです。確かにいい写真、映像が見たいですねえ...っていうか音が聞きたいな。
- ちなみにどうでもいいことだけれど、このスーパープレッシャー気球の実験第1号機はとてもかわいい。
- そうそう、スーパープレッシャー気球は、2002年のテストフライトの時にJunkyard Reviewで記事にしましたね *1。
- というわけで、これはなかなか画期的な技術なんです。テストフライトが楽しみ!
- ところで、矢島研といえば、金星気球だけど、あっちはどうなっているんだろう?
この手の高高度観測気球は、地上にいるときはぺちゃんこで、上昇するにつれて外気圧が下って、どんどん膨らんでいく。で、だいたいパンパンに膨らんだところ(これを満膨張という)で目標高度に達して、そこに滞留し、各種の実験や観測を行う。
観測の内容は、赤外線やX線にによる銀河の観測や、オゾン層の観測、高層大気の採集など、科学実験がおもな用途。気象観測用の気球とはぜんぜん別物で、どちらかというと人工衛星がやってることを低いところでやっている感じ。結構いろいろ活躍してるんだけど、「ろけっと」とか「ひこうき」に比べていまいち地味だからあんまり目立たないねえ。
さて、これまでの観測気球は、目標高度で満膨張に達すると排気孔から余分なガスを放出して、一定高度を保つ。ただ、夜になるとガスの温度が低下して高度が下がるため、バラストを放出して高度を補正する必要がある。つまり、高度維持をガスの放出とバラストに頼るため長時間滞空するのが難しいという欠点がある。
これに対してスーパープレッシャー気球は満膨張したあともガスを放出せずに上昇を続け、大気の密度と気球の浮力がつりあう地点で高度を維持する。昼夜間で高度変化がないため、バラストによる高度維持の必要がなく、長時間(1ヶ月以上)の滞空時間を持つ事が出来る。ただし、名前の通り気球の内部と外部で非常に圧力差が大きくなるため、これに耐えうる構造を持っている必要がある。このため、開発が非常に難しかったが、宇宙研の矢島研究室は1999年5月にこのタイプの大型気球の実験に世界に先駆けて成功した。
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*1 さすがに5年もやってると、こういうときに楽ちんでいいなあ。