2005-08-26
§ [clip] Daily Clipping
- Space radiation may select amino acids for life (NewScientist)
- 宇宙線が生命が利用している「左利きのアミノ酸」のフィルター役を果たしたかもしれない、というお話。うゎお!マジですか?
- アミノ酸の分子は左右非対称の形をしていて、普通に合成すると「右利き」と「左利き」の2種類が同じ量だけ出来る。でも、なぜだかよくわからないが、地球上の生命のたんぱく質は全て「左利き」のアミノ酸から出来ている。もしかしたら、その謎が解けたのかもしれない。これはすごい!ビッグニュースだ! ... と思うんだけどなあ。
- 左利き、右利きの両者がアミノ酸が混じっているところに、円偏向した(一言で説明すると、ねじれた)紫外線を当てたら、左利きの方だけが生き残ったそうな。つまり、地球のアミノ酸、つまり生命の材料となった物質に偏りがあるのは、宇宙空間で円偏向した電磁波を浴びたからかもしれない
- この鏡像関係にある分子(光学異性体)の左右の違い(キラリティ)というのは実はとても重要な問題。かの有名な「サリドマイド」は、右利きの分子は鎮静作用があったけれど、左利きの分子は胎児に異常をもたらす作用があったことに原因がある。香料に使われるリモネンは片方がレモンの香りで片方がオレンジの香り。分子の左右が違うだけで、ぜんぜん性質が違っちゃうのだ。実は、この光学異性体の左右をちゃんと区別して分子を合成するのは化学者の長年の夢だったんだけど、それを果たしたのが2002年にノーベル化学賞を受賞した野依良治博士。
この記事の研究も、もしかしたらノーベル賞級の研究に発展するかもしれない(個人的には本当ならこれだけでも十分それに値すると思うけどね)。なにしろ、生命の起源を知るための有力な手がかりが得られた、ということなんだから。- (追記)
と、驚いた勢いでエントリしたら、さほど新しい考え方でもないみたい→コメント欄参照(kkojimaさんご指摘ありがとうございます)
ノーベル賞はいいすぎ、というか、 kkojimaさんが指摘されているように、「生命の起源は宇宙にある!」と言いたいがために、昔の実験の追試をしてみましたという感じですね。むむむ。
- NASA/NOAA Announce Major Weather Forecasting Advancement (NASA)
- NASAとNOAAの研究によって、6日以内の天気予報の精度が4%向上したというお話。地球観測衛星「AQUA」に搭載された AIRS(Atmospheric Infrared Sounder)と呼ばれる計測機器のデータを考慮して予測を立てたところ精度が向上したとのこと。AIRSは赤外線によって気温、水蒸気などを3次元的に捉えることができる装置。 えーと、AQUAの運用には日本も参加しているんだから、教えてくれないかな、ねえ?AIRSはアメリカが作った装置だからダメか、やっぱし。
- Space-ferry may be ready by 2010 (NewScientist)
- ロシアが開発中の宇宙往還機『Kliper』(愛知万博のロシア館に展示されているらしい)の開発にESAと日本が参加、という話。え?この間ずっと、「日本は興味を示さなかった」んじゃなかったっけ...こっちの記事(SPACE.com)には日本のことは書いてないし、ちょっと眉唾かな。
§ "And pray that there's intelligent life somewhere up in space ..." *2
とても面白い天文学者の集まりを覗かせてもらった。天文学者/望遠鏡のエンジニア同士が、今それぞれの研究領域で今何が分かっていて、何が分かっていないのかを共有して、みんなで次の10年のことを考えようという趣旨の集まり。平たく言えば、「僕たちのやってる研究はこんなに面白いぜ!だからこんな観測装置を作ってよ!」という天文学者と、「こんな機械が出来そうだから、何か面白そうなこと考えてよ!」というエンジニアが火花を散らしてバトル、という感じだろうか。これが面白くならないはずがない。
さすがにそのままひょこひょこ出かけていっても面白くないので、少し予習をしていったけれど、そんなにわか勉強でどうにかなる代物じゃなかった。恒星や銀河の話、ブラックホールの話、宇宙論、系外惑星、新しい観測機器、大きな望遠鏡、宇宙望遠鏡 ... くらくらくら。めまいがするぐらい面白いぞ!でも、脳が沸騰するぐらい難しいぞ!
さて、中身をご報告できるといいんだけど ... 復習がてらちょっとやってみようかな。
*1 Eric Idle "Galaxy Song" ちなみにこの歌はこう続く、"'Cause there's bugger all down here on Earth."
*2 Eric Idle "Galaxy Song" ちなみにこの歌はこう続く、"'Cause there's bugger all down here on Earth."
すげーニュースだと思ったので、元記事まで行ってきましたが、どうにも記事の力点は「だから地球の生命は隕石がもたらしたアミノ酸に由来する」という部分にあるような感じがして、ちょっと違和感を感じました(夢があるのは認めますが)。<br>あと学術論文じゃないから、個々に書いていることの論拠も明確に示されていないので、ちょっと、という感じ。<br>しかし、2.5%とか2.6%とか言ってて、本当に有意に壊れやすさに差があるんですかね?ついでにいうと、偏光が逆なら、壊れるアミノ酸も逆になるとかは起こるのかとかいう実験もしてくれれば良いのにとか思いましたが。
追伸というか、<br>http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsac/TT50/2E07.html<br>こういうものが、結構引っかかりますから、この記事で上げられているチームがノーベル賞級ってことはないだろうと思います。
kkojimaさん、ありがとうございます。<br>確かに、元記事にも「2000年の実験の追試をしたら」と書いてありますね。あー、乗せられてしまった。