2005-07-05
§ ASTRO-EII/M-V-6
昨日の今日ですが、今度は日本でロケットの打上げです。7月6日(水)12:30?13:00に内之浦の射場からM-Vロケットを使って、X線天文衛星ASTRO-E2が打ち上げられます。13日がシャトル復帰第一回目の打上げですから、次から次へとイベント目白押しですねえ。
今回の打上げは、ひとことで言えば、2000年のM-V-4によるASTRO-Eの軌道投入失敗を受けてのリベンジです(だからASTRO-E "2" なんですね)。
打ち上げに使われるM-Vロケットは、世界でも珍しい全段個体燃料の打上げ機、個体燃料打ち上げ機としては最大のものです。JAXA統合前は宇宙研(ISAS)に属し、ペンシルロケットから面々と続く日本の個体燃料打上げ機の最新鋭機ですね。射場は種子島ではなく内之浦です。前回は今小惑星ITOKAWAに向かっている「はやぶさ」ことMUSES-Cを打ち上げました(その前が失敗したASTRO-Eです)。
今回M-Vに乗せられているのはX線天文衛星です。平たく言えば、ハッブル宇宙望遠鏡のX線版といったところでしょうか。日本はこれまで5機のX線天文衛星を打上げ、X線天文学では世界のトップレベルにあります。
せっかく作ったので、使いましょう。下記ページのチャートを見てください。すでにASTRO-E2も加えてあります。*1
天空を見つめる数多の瞳 (Junkyard Review)
X線の波長領域で見えるのは、ブラックホールや星の爆発といった宇宙でもかなり激しい現象。また、太陽系内の惑星でもかなり活発なX線の放射が観測されたりしています(土星の輪にも!)。X線による観測は、大気にさえぎられて地上からは観測できないため(チャートの赤いラインに注目)、この分野の観測には宇宙望遠鏡が必要不可欠なんです。うまく軌道に乗れば、面白い知見をもたらしてくれること必須です。
*1 なんて便利なんだ!
では、関連情報を上げておきましょう。
ちょっとお楽しみをひとつ。
科学衛星の打上げに際しては、打上げから探査機の軌道計画までをまとめた「性能計算書」というものが出されますが、旧宇宙研の頃からこの表紙に毎回打ち上げる衛星に引っ掛けたお酒のパロディラベルが印刷されるのが慣習になっています(前回「はやぶさ」のもの「銘酒『虎の児』」)*1。凝りに凝って作ってありますがちゃんと蔵元に許可を取っているそうです。こういうの、いいですねぇ。
*1 タバコのラベルだった時期もあるようです
今回はどんなラベルになるんでしょうか?