2003-10-01
§ [final_report] コロンビア事故最終報告書 翻訳日記
『1.5 The Challenger Accident』、『1.6 Concluding Thoughts』をアップ。第1章終了。
§ [clip] Daily Clipping
全然「でいりー」じゃないっすね
ずいぶんまえに『落書き宣言』を登録してみたことがあるけれど(このねじれた皮肉に気付いた人はいるんだろうか)、僕がクリエティブコモンズに期待したのは、明示的に著作権を放棄する手段になりうるかもしれないと思ったからだ。
残念なことに、現行の著作権法には、明示的に著作権を放棄する手段がない。もちろん、訴えを起こさなければいいという考え方もあるけれど、これは著作物を利用する側のことを何も考えていない。「これは安心して自由に利用できる著作物である」ということを第3者を通じて明示することができなければ、利用者は自分が著作権違反をしているのかもしれないという不安から逃れることができないはずだ。個人的にそういう思いを何度もしてきたし、少なくとも自分の作ったものは、そういうしがらみから自由にしておきたいと思ってきた。本サイトのaboutにも、進めている翻訳にも、繰り返し繰り返しそのことを主張しているのは、そういう思いがあるからだ(まあ、そんなに偉そうなものを作っているわけじゃないけどね)。
画面にチラッと映っただけの椅子にたいして著作権料を払わなければ、その映像を上映できないっていうのは、その椅子の作者にとっても不利益なんじゃないかと思う。もちろん、俺のものを勝手に使うなと主張するのは悪いことじゃない。でも、どうぞご自由にお使いください、と「正しく」言う方法がないというのは何か間違っているような気がする。
僕には「copyright reserved」の文字は「危険、取扱い注意」に見える(これはおそらく、正しい認識のはずだ)。僕はただ、自分の作ったものに「安全」というラベルが張りたい。もしいつの日か、そのまだ見ぬラベルがcopyrightと同じくらいの市民権を得たならば、それは少なからず著作物の付加価値になりうるんじゃないだろうか。
おい、この立花隆のインタビューはなんだ?こんなこと言わせていていいのか?有人なんかいらない、ロボットにやらせろとか言ってますけど・・・。いや、まあそういう考え方も有るんだけど、一発目にこれはどうかと思うぞ。宇宙開発のケインズ政策効果って話も、かなり異論があるしねえ。重要なことも沢山言っているんだけど、むむむ。
宇宙開発は、産業としてGDPを左右するような利益をバンバン生み出すにはパイが小さすぎるし、スピンアウトを狙うには特殊すぎる。ロケットは国家経済を左右する産業にはならない。
たとえば、自動車業界にとって、F1レースは金を食うばかりで、実質的な利益を生んでいない。あまりに特殊すぎて一般車へのフィードバックは殆どないといわれているし、自動車産業そのものへの直接的な広告効果もあまりない。でも、それなりに参加企業があるのは、F1参加企業というイメージがまだそれなりの価値を持っているからだ。技術力の高さのアピールになるし、企業のモチベーションの一部(ごく一部かもしれないけれど)を担っている。
同じ理屈を宇宙開発に当てはめるなら、「宇宙開発参加国家」が国のイメージの一部を形成しているとすれば、それを捨てるのはあまり得策ではない。いつか、宇宙開発が本当に産業になりうる日が来た時に、そのイメージはその後の成長をかなり大きく左右するはず。夢や希望じゃお腹は一杯にならないけれど、夢や希望がないのはずいぶん寂しい。そして、その寂しさはいつかボディーブローのように効いてくる。それは国家というレベルでもたぶん同じだ(たとえば、中国はきっとそれをずーっと味わってきたんじゃないだろうか)。
国民に夢と希望を与える。大義名分にはならないかもしれないけれど、恥ずかしがらずにそのことをもう少し議論してもいいような気がする。僕らが「国の強さ」を感じるのは、経済力や軍事力だけではない。そして、歪んだ優越感にならなければ、みんながそれを感じるのは悪いことじゃないはずだ。