利用者:Tohka/第7回宇宙ユニットセミナー
提供: Space Cluster Japan
第7回宇宙ユニットセミナー
- イベント名
- 第7回宇宙ユニットセミナー
- 日時
- 2010年6月22日17時15分~
- 開催場所
- 京都大学理学部4号館 504会議室
- 主催
- 京都大学宇宙総合学研究ユニット
- 講演者
- 山川宏(京都大学宇宙総合学ユニット副ユニット長、京都大学生存圏研究所宇宙圏航行システム工学分野教授、今後の宇宙政策の在り方に関する有識者会議 構成員、宇宙開発委員会国際宇宙ステーション特別部会 特別委員)
- 題目
- 「最近の日本の宇宙政策の動向 ~有識者会議の役割~」
細かいところは抜けてたりニュアンスが異なる場合があります -- @tohka383
講演
今まで流れ
- はやぶさの話をしてもいいが、今回は今しかできない話を
- 2月くらいからずっと忙しい日々をすごしていたが、そもそもは2年前から動いていた
- H20年に宇宙基本法が制定された。それを受けてできたのが宇宙開発戦略本部
- たとえば、こんど打ち上がる準天頂衛星は3基あればGPSの補完衛星として機能するが今までであれば1基しか打ち上げることはできない
- なぜならば、研究目的という名目であり、2基目以降は打ち上げる理由がなくなる
- そうではなく、既にインフラとして宇宙はある。研究以外でもあげれるようにしたのがこの法律
- 宇宙開発戦略本部は本部長が内閣総理大臣で副本部長が官房長官と宇宙開発担当大臣。部員に国務大臣で構成される
- 戦略本部は閣僚からなるため、それをフォローするのが宇宙開発戦略専門調査会
- いわゆる有識者からなるが宇宙関係者は少なく、それは理学系の人ばかりでロケットや衛星関係の人はいない
- それを更にフォローする形で作られたのが宇宙開発利用体制検討ワーキンググループ
- ここでようやく田中俊二SJAC常務理事や中須賀先生が登場
- ただし、いくつかオプションを示すのみで決定したり働きかけたりはしない組織
- また法制検討ワーキンググループもでき、MHIの淺田さんやスカパーJSATなどの衛星側の人も
- 宇宙法の青木節子先生引っ張りだこ
- H21年4月に民主党は宇宙局をつくり一元化すべしと言っていたのだが実現していない
- もともと超党で可決された法律なので政権交代に左右されないはず。ただし、党をあげてではなく議員による立法なのでやや弱い。このとき動いていた民主党議員は宇宙と関係ないところにおり、野田佳彦さんは財務大臣になった。
- H21年6月、宇宙基本計画発表。このとき年あたり最大5,000億必要という試算がでた
- 防衛関係含め3,300億円程度で予算があがるかと産業界が期待したが、政権がかわって遅々として進まず
- H21年7月、官房長官決裁の月探査に関する懇談会が開かれた
- 宇宙関係の人は多いが、月探査を強く推している人は入っていない。ここでも青木先生が登場(笑
- オバマによる米国の方針が変更となったが、月推進の人がいないので……
有識者会議
- H22年に「今後の宇宙政策の在り方に関する有識者会議」がつくられ、山川先生のところに電話がきた
- 二つ返事で承諾したが、他の会議のような人数しかいないと思っていたが5人しかおらず責任重大
- しかもなぜこの5人なのか、みな頭をひねる人選
- このときいろんな人から質問されたのが秋山先生について。惑星関係が専門で、秋田大にいたころ宇宙教育に目覚めて「ロケットガール養成講座」を。和歌山大に移ってからは宇宙教育研究所を立ち上げた。いろいろ動いて国からお金とってきたりとバイタリティあふれる人。
- 他の会議と違い、8月末までの期限付きの組織
- よく、前原大臣の私的な会議と呼ばれるが実際は官房長官決裁の強い立場
- すべてに前原大臣、大島副大臣、泉政務官の政務三役が出席。本気であると感じた
- 泉さんは京都の選挙区の議員の若い方。前原さんも。親近感を抱いている
- 1時間しかなく、そのために非常に多く打ち合わせを行った。資料は役人が骨子を作ったのではなく、全部自分たちで
- 毎回、泉政務官がメディアにブリーフィングを行うが、自分たちは出席しないため、松浦晋也さんのブログで記載される内容をみて、チェックした
- 内部打ち合わせは少なくとも30回以上、各省庁、JAXA、メーカなどとも。外との折衝は山川先生が担当
- 1回目前に、文科省から呼ばれて何やるかを聞かれたが、知るはずもなく、政府と省庁もいろいろあることが窺い知れた
- 5人とも24時間365日宇宙のことを考える部署(宇宙庁)があってもいいという意見をもっていた
新成長戦略に対する提言
- 3/7に新成長戦略について戦略本部案と有識者会議案をまとめたい旨を聞かされ、新成長戦略に「宇宙」の文字をいれたいらしい(後ほど、文科省をはじめ5省庁も宇宙に関して提出していたことがわかった)
- 3/24に「JAXA産業連携シンポジウム2010」に参加。人から勧められたが行ってよかった。このときパネリスト全員にコンタクトをとった
- というのも、有識者会議による提言を行うのに時間がなく、4/2, 3にタスクフォース会合を行った。100人以上に呼びかけ、そのうち9割もの人に来ていただいた。これが一番の山場だった
- 産業側の我々から遠くに位置する人など、普段呼べない人に多く来ていただいた。急にも関わらずこれだけ多くの人が参加したのは、みんな危機感をもっていたからだと思う
- 参加者、内容は非公開にし、組織を超えた意見をだしてもらった
- 科学も含まれているが、成長を中心としたもの
- 日本が参考とすべきは商業型のヨーロッパ。アメリカ中国のような軍需型はきつい
- 4/12に経団連が提言を送ってきた。これは毎年行われている。書いたのはメーカ
- 4/20に有識者会議による提言を提出。経団連のベクトルとは大きく異ならないし、別にケンカするわけではない
- 他省庁によるものもあったが、有識者会議案がもっとも包括した内容であった
- といっても行った提言は当たり前のもの。まず宇宙に関わることを是とすること。民需の拡大やサービスを含めた海外への売り込み。また宇宙庁のようなものの設立
- ただ、この時点で「庁」などを出すのは時期尚早といわれた
- 第1回会合のときに前原担当大臣から「基本計画のA~Iの選択と集中をしてください」といわれたことに関しては
- 宇宙基本計画パンフレット (.pdf) A~Iについて
- まず観測と安全保障は一体的にまとめられる
- 測位に関しては某省の冷めた対応から、「強い要望がない限り不要」とした。これはみちびきの打上で世論等盛り返してくれることを期待した表現
- 有人宇宙は、ISSにおけるサイエンスのアウトプットなどが弱く、費用に対して説明が乏しいことから「新しい有人プログラムを考案すべき」とした。
民主党議連と文科省ISS部会
- 4/22に民主党の宇宙政策推進議員連盟を発足させた。3月ごろから根回しをしていたが、松井先生のコネクションが大きく、早く実現。(言い方悪いが)宇宙族議員になってもらいたく
- 党代表選に出馬し現在党国対委員長の樽床伸二さんや幹事長代理の細野豪志さんなどが参加
- 4/30に文部科学省の国際宇宙ステーション特別部会が開かれた
- これは3月にJAXA、NASAなど5長官による宇宙機関長会議で少なくとも20年まで運用することを受けて
- 有識者会議からは中須賀先生とともに参加
- これがあるので、今でも忙しい身。おそらく有識者会議による提言で、ISSに懐疑的なまとめをしたので、反対派と思われていれられたのでは
- 山川先生はISS穏健派だが、やはりサイエンスは薄い。マテリアルなどは無人でもできる。有人でやるなら宇宙医学だろう
- 6/3に第2回議連勉強会。まさかの樽床さんが代表選に出馬を表明した日。樽床さんは欠席
新成長戦略
- 6/18に新成長戦略について閣議決定。宇宙関係はPDFにおけるp80あたり
- 「小型衛星・小型ロケットの開発」「衛星データ利用促進プラットフォームの構築」など
- 一方大型衛星などに関しては「衛星・センサーのシリーズ化」「リアルタイム地球観測網の構築」
- たとえば、だいちは非常に評価を得ているが、それをリアルタイムで行えるようにすると、数基は飛ばさなくてはならない
- 7~8月に向けて、各省庁で概算要求案作成に向けて既に動いている
- ご清聴ありがとうございました
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