はじめて先輩に連れられてロケに行った時の事。ミキサーさんは四十代後半のおじさんだった。
ベテランスタッフの多い単発2Hドラマはただでさえやっかいだ。
波乱万丈のロケデビューの予感!!
さて。
このミキサーさんがいじめるいじめる。
「このマイクどこのー?」(使うだけで必死なのにメーカーなんか知るかい)
「古いマイク使ってんねー」(使うだけで必死なのに型番なんか知るかい)
「声しかとってないからベースノイズよろしくねー」(こら、手え抜くな!)
「そんなに面はずして平気なのー?」(これはステレオマイクだ!・・・え、ダメなのか?)
ひー。胃が痛い。
頼みの先輩はというと・・・先輩も答えられないのだった。おい!
二人でうろうろすること数時間。私は先輩に力強く宣言した。
「このロケが終わるまでにあのミキサーと仲良くなってみせる!!」
ああいう手合いはよく知ってるぞ!ええい、あんなおやじにバカにされてなるものか!!
しかしその後もおやじの攻撃は続いた・・・。
「このマイクホルダーの向き逆じゃない?ヘンなの」
「川の音とるんだったら川ん中入らなきゃダメだよー」
「そんな音、会社にいくらでもあるでしょー」
etcetc...
・・・くびをあらってまっていろ。
さてロケも大詰め、最後の五日間は地方ロケ。場所は出雲。先輩は東京で仕事。
たったひとり知らない人々と遠路ロケバス13時間。
つづく。
(・・・さおは??)
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