2002.6.28 金
「またまたいい音の話(もう飽きた?)」
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最近昔なじみのミキサーさんに再会することが多い。
テレコもろくに使えなかった頃からの知り合いだったりして、
色々思い出して恥ずかしさで倒れそうになったり、気心が
しれてる分やりやすかったり。
そして驚いたこと。ミキサーさんによって、録れる音って
全然違うもんなんだなあ、ということ。
ま、常々そう思ってたんだけど。昔から知ってる人の音を
聴くと、余計に。
「音なんてどんな風に録っても同じじゃん」と普通は思う。
でも同じ曲でも演奏する人によって印象が異なるように、
同じマイク、同じセッティングで同じシーンの音をとっても
ミキサーさんによってがらっと変わってしまう。
「うまいミキサー」というのは何がうまいのか。
とりあえず、技術はないと話にならない。具体的には、どんな
状況でもちゃんと聴こえる音がとれること。
<ひさしぶりの一口音響講座:ドラマで使うマイク>
基本的なことを一つ!
ドラマでは、ピンマイクってあんまり使わないのだ!
1本数十万とかするのを使っても、音が痩せていてBGMやSEに
負けてしまうから。できるだけ避ける。
テレビで見るあの画面の、ほんの5センチ外で、ガンマイク(
直径2cmくらい、長さ30cmくらいの筒状モノラルマイク)を
役者の動きにあわせて振って録るもんなんだよ、台詞って!
・・・知ってた?(私は知らなかった)
だから「どんな状況でもちゃんと聴こえる音がとれる」という
のは簡単なことではないのだ。
うるさい場所でのロケなら、いかに台詞以外の音を切りつつ
いい音をとれるかが問題になる。具体的には、どういう角度で
マイクを向けるか、どの種類のマイクを使うか。
スタジオ収録で静かな状況でも、何台もあるカメラや照明の
邪魔にならない場所から録るために、複数のマイクを使い分け
なくてはならない。
あるベテランのミキサーさんの音は、とにかく芯がしっかり
している。ささやきも、怒鳴り声も、きちんと録る。例えて
いうなら発色のきれいなマジックで描く絵みたいなもの。
それぞれの色合いもきれいだから、完成した絵はメリハリが
きいていて、何を描きたかったのかよくわかる。
これに対して下手なミキサーさんの音は、使い古してかすれた
マジック。・・・これ赤?それとも茶色?という感じになって、
全体の印象もくすみがち、背景と混ざってしまって何を描いた
のかさっぱりわからない。
それじゃ、技術以外にその人を「うまいミキサー」にするのは
何か。長くなったので以下次回!
(え、また10日後くらいで、その頃にはこのネタ飽きてるんだ
ろうって?・・・だんだんわかってきたねー)
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BGM:Yosui Inoue"Golden Best"
2002.6.25 火
「ほっ。」
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ようやく春クールのドラマが二本とも終了。
打ち上げも無事終わり、後はオンエアを待つのみ。
そして明日から早速新番組へ。長い休みをくれー。
先日書いたMDの話のつづき。
「業務用」のMDがあると書いたけれど、業務用の方が変に
高機能な分安定しないこともある。
某スタジオの業務用MDがフリーズして(つーか、MDで
フリーズってなんなんだ)ディスクのイジェクトができない
現象が頻発したことがある。
よくよく自分のした操作を思い出してみると、ある流れで
操作した場合必ずフリーズするということに気づいた。
そこでスタジオの管理の人に修理を呼んでもらったらば。
「・・・設計ミスでした。ROMの基盤ごと取り替えます」
せっけいみす??業務用なのに?つーかなんで今まで誰も
気づかなかったんだろう・・・。
業務用が必ずしもえらくないというお話でした。
ちなみに音声さん(主に台詞を録る人)達は、オンリー
を録るのにMDを使う。
例えば台詞の一部だけろれつが回らなくて意味がわからない
場合、後からとったオンリーと差し替えたりするわけ。
そんな重要なものをとるのに使ってるMDは、ディスカウント
ショップで24,000円のポータブルだったりする。
そんなもんです。量産品ばんざい。
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BGM:Transonic seven
2002.6.17 月
「あああ。」
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じゅうににちも更新しなかったああ。
ごめんなさい。>ごくごく少数のよく見に来て下さる方々。
久しぶりに四日連続スタジオ収録で、かつ9:00-25:00とかいう
人間ではない生活をしていた。
絞り忘れた高野豆腐みたいに疲れた。
昔はそんなのばっかだったんですけどねえ。
無駄に若かったんですね。
ああもっと有用なことに使えばよかった>無駄に若い日々。
今回初めて、ドラマの収録でMacを使った。
音楽を現場で(しかも急いで)編集するはめになったので。
最近調子の悪い牛乳かんiBookにソフトはProToolsFree。
アウトプットは一万数千円のもろアマチュア用のUSBオーディオ・
インターフェイス。計・・・三十万円いかないじゃん。
・・・かつてこんなへなちょこな装備でドラマの音を出した音効さん
がいただろうか。はーずーかーしー。
余談だが、某M山スタジオにはMDプレーヤーがない。
理由は「MDは民生機だから」。メディアの耐久性、信頼性に疑問が
あるというわけですね。私がここ5年以上MDを使っていて、ディスク
エラーが起きたのは一度きりだけど。
一応某T社が業務用の90何万だかするMDとか出してるんですけどね。
ドラマの黎明期から良い音を録るために戦ってきた技術屋さんには、
あんなのおもちゃに思えるんでしょうね。
そんな彼らから見たら上記のようなシステムで音を出すなんて言語道断
かもしれぬ。
閑話休題。
今回Macを選んだのにはわけがある!
どのみちガイドとして流すだけで、後からちゃんとした音質の曲と
差しかえるから音質はどうでもいいのだ!というのが一つ。
そしてこの、「後から差しかえる」というのが曲者なのだ!!
テレコは、その名の通りアナログのテープレコーダーだから、
再生する機械によってテープの走行スピードに微妙なズレが出る。
このズレが差しかえの時に問題になる。
1秒の数十分の一以下というレベルだと思うんですけどね。
耳で聴いてもわかるわけはなし。
でも同じ曲を重ねれば変なフランジャーがかかったみたいに
なってしまう。
その点、デジタルなら再生スピードは変わらない。
えらいぞマック!えらいぞプロツーフリー!
・・・でもM Box欲しい。
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BGM:Angel/SHAGGY
2002.6.5 水
「う。」
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六月かい。もう今年も半分。
ちょうどクールの境目で、三本かけもちするはめに。
急になんだか忙しい人になってしまった。
一体どのドラマが何話めなのかわからなくなる。
記憶力の低下をひしひしと感じる今日この頃。
先週、ダンスの公演を見に行った。オーチャードホール。
・・・ダンスの公演でS席18,000円ってどうなのよ。
内容については書きたいこと山盛りなので次回に譲るとして、
音響さんバカなミーハー話をひとつ。
なんと!たまたま、客席に一番乗りで入ってしまった!
あのサイズのホールの客席に一人!
どーんと高い天井、どこまでも椅子・椅子・椅子、固い木の床、
聞こえるのは自分の足音だけ。
身体全部を耳にして音を聴く。空間の広さを肌で感じる。
予想以上に残響が短い。からっと明るい響き。
せいぜい20秒位だったのだろうが、とてもとても長く感じた。
ちょっと幸せな時間でした。
(え、なぜ?と聞かれても・・・うー、あー)
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BGM:The Black Crows/Shake your moneymaker
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