nomorewar

きっと戦争は良くないことだ。なにしろ不幸になる人が多すぎる。でも、こぶしを突き上げてただひたすら「平和」を叫ぶことが、本当にみんなを幸せにするのかどうか、ぼくにはだんだん分からなくなる。誰かが幸せになることが、どこかで誰かを不幸にするんじゃないか、そんな不安がよぎる。いや、そんなはずはない、幸せになるのは悪いことじゃない。でも・・・。

ずいぶん前、イスラエルに行ったとき、ぼくは一人の爺さんに出会った。礼拝中のモスクで、マシンガンを乱射するというテロ事件がおきた現場の近くで、そのアラブ人の爺さんはたどたどしい英語でこうつぶやいた。「俺たちは、これをもう2000年近くやってるんだ」平和という言葉を聞くたびに、ぼくはあの爺さんの顔を思い出す。

砂漠を戦車が行く、街に爆弾が落ちる。テレビの前で心を痛めながら、ぼくは、ただ力なくうなだれる。街角をデモ行進が行く、シュプレヒコールが聞こえる。ほんの少し良心の呵責を覚えながら、ぼくはそっと目を閉じる。

戦争反対。