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I , Robot

2000.02.07 posted

ぼくは、いつかロボットが"人権"を手にする日が来ると思う。「ロボット権」じゃなくて「人権」。まあ、人権なんて曖昧な代物がそれまで残っているかどうか分からないけどね。

たとえば、あなたはじゃれついてくるAIBOを叩き潰すことができるだろうか?

こういうことって、理屈でどうこういう問題じゃないし、とても感覚的で普段あまり議論されることがないんだけど、実は「罪」や「権利」っていうのはこういうところから始まるような気がする。

人類が"人間"の定義ができない以上、究極的には「人間に似た何か」と人間を区別する方法はない。すこしSF的だけど、限りなくロボットに近い人間と限りなく人間に近いロボットを区別する方法はないし、そのころには、そんな区別はもう意味をなくしているはずだ(でも、「差別」は残るんだろうな、たぶん、いつまでも)。
チューリングゲームはもう意味がなくなっているのかもしれない
(あれは元々、アランチューリングの皮肉だっていう説もある)

個人的には、どこまでが人間でどこまでが機械かなんて議論はナンセンスだと僕は思う。本当に人間と区別がつかないほどのロボットができたとすれば、それはもう人間なんだよね。あるのは見かけの違いや考え方の違いであって、人種や個性なんかと同じレベルになってしまうはず。作った作られたの関係なんて、生まれた後では意味のない議論でしょ?
「親」ってのは尊敬すべき相手だけれど、服従すべき相手じゃないはずだから。

そうそう、クローンだって同じこと。

人間のクローンは人間、人権だって人格だってちゃんとある。そう考える方がシンプルだし、分かりやすい。何もクローンを作ることを禁じる必要はない。

もうすこし話をややこしくしよう。
じゃあ、人間の肝臓をもった豚はどうだろう? 逆に豚の肝臓をもった人間は? 前者は豚で、後者は人間。うん、僕も異論はない。だけど、それを決めているのは純粋に割合の問題だ。それを忘れるべきじゃない。まあ、クローンみたいなバイオの世界では、半分人で半分豚みたいなことは早々ないけれど、ロボティクスの世界では近い将来じゅうぶんあり得ることだ。


アジモブ博士には悪いけれど、ロボット三原則は人権の蹂躙だと僕は思う。


by isana kashiwai
isana.k [at] gmail.com